深い傾聴によるカウンセリング(来談者中心療法)は「あなたがあなたのペースで自分の心の声に耳を傾ける安全で安心な場」を継続的に提供する心理カウンセリングです。
カウンセラーとの対話が、あなたが自分自身の心の声に耳を傾けることに繋がっていきます。カウンセラーとあなたとの対話は、語られることも語られないことも含めてカウンセリングは進んでいきます。
人の身体に自己治癒力があるように、心にも自己治癒力があります。
風邪をひいたときに、熱やせき、鼻水などの症状に対して風邪薬が処方されますが、根本的な治療法は「安静にして栄養と睡眠を十分にとってよく休むこと」でしょう。それによって自己治癒力が働きだし、風邪が治っていきます。すると、一つの症状だけでなく、すべての症状が自然に消えていきます。
また、植物を育てるとき、光、温度、養分、水などの環境を整えます。すると植物は適切な環境があれば、その植物らしく育っていきます。人間が茎や根をひっぱっても無駄ですし、また盆栽の松のように美しくしようと手を加えれば人間にとっては美しいと感じても、松が本来なりたい形とは違う歪んだ形にしかなりません。
心も同じように、適切な環境があると、傷ついても自己治癒力によって回復しその人が本来持っているしなやかさ、たくましさ、その人らしさが育まれ始めます。
では、どうしたら「心の自己治癒力が働きだし、心が成長の方向に向かう」ことが出来るようになるのでしょうか?
心にとっての適切な環境の一つが「自分のことをありのままに分かってくれる。受け入れてもらえる人間関係」なのです。
深く傾聴する営みは、心にとって適切な環境を提供し続ける営みです。
深い傾聴によるカウンセリング(来談者中心療法)はこころの自己治癒力を活性化する心理療法です。
深い傾聴によるカウンセリングでは次のようなことが起きてきます。
カウンセラーから深く共感的に理解され、無条件に受け止められる過程で、来談者が「このカウンセラーは私のことを、私の身になって分かってくれる。しかもありのままの私のことを無条件に受け入れてくれている」と感じることができるほど、心の自己治癒力が働きだします。そして、もっと語りたくなります。来談者のペースで自分自身の本当の考え、本当の感情が何かが自分で分かってきます。そして、それとともに、深い癒しの過程が起きてきます。同時に自分の解決したいことに安心して取り組んでいけるようになります。
深い傾聴によるカウンセリング、心理療法の根本に「来談者には自分の心の傷や矛盾を癒して解決する成長力がある」「適切な環境さえあればその人らしく成長していくのだ」という人間への強い信頼があります。
カウンセラーにその信頼があるからこそ、来談者の成長力、自己治癒力が発揮されます。
深い傾聴によるカウンセリング(来談者中心療法)は、心の特定の症状にアプローチするものではなく「自己治癒力が働き出し、心の成長によって症状全体が消えていく」心理カウンセリングです。